2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

タイムスリップ物語 46

時は遡って10月2日… 三成は家康と対談していた(前回の続き)「…で、石田殿の真意は?」 家康は、三成が大坂で再挙するつもりであったと確信している。 家康本心としても、三成をこのままにしておきたくはなかった。 三成は確かに、大坂で再挙するつもりでいた…

タイムスリップ物語 45

9月29日…ついに、徳川家康は動いた。 大津城を出て、大坂城へ向かうよう諸将に指示した。 これには福島正則らが苦い顔をした。 戦いたくなかった。一方、大坂城の石田三成も東軍の動きを知って 毛利輝元と共にどっしりと構えた。 輝元は、三成に問うた。 「…

タイムスリップ物語 44

「…で、お前さんの仮説による第三者ってのは?」 「あの女だ」 「あの女?」 高虎は聞き返した。 「誰のことだよ」 「まだ記憶に新しかろう…関ヶ原より前、江戸から清洲まで俺達と 同行した奇妙な女がいただろう」 「それって…あの…」 高虎が思い出しかけた…

タイムスリップ物語 43

9月20日、徳川家康が大津城に入ったとの報せが入った。 大津城城主は京極高次といってお市の次女・初の夫であった。 彼は元々は西軍であったが、 大谷吉継が美濃の方へ転進した際に突如東軍へ寝返り、 3000の兵を率いて大津城に籠城したのだ。 これに対し西…

タイムスリップ物語 42

夜が更けた… 朝日が洞窟に差し込む。 交代で見張りをしていた隼人と椿が皆を起こしにかかる。 結は目をこすってあくびをした。 どうやら、一晩の間、東軍の追っ手には遭遇しなかったらしい。 9月16日のことである。 三成は洞窟を出て辺りを見渡す。 「…誰も…

タイムスリップ物語 41

「あれは―――――!!」木陰から現れた人物も、こちらを見つけて驚いている。 「!」 「小西さん!?」 小西行長だった。腕と足を負傷している。従者は、いない。 結は駆け寄った。 「小西さん…大丈夫ですか…!」 「……っ」 行長は言葉一つ発しない。そして隼人…

タイムスリップ物語 40

「やはり…金吾は裏切ったか…」 小早川の裏切りを前もって予測していた大谷吉継は、冷静であった。 「兵力の差は歴然としている。だが、小早川の軍勢は足並みが 揃っていない。600の精鋭で十分時間稼ぎはできる。…迎撃せよ」 大谷隊は自軍の何倍もの兵力を有…

タイムスリップ物語 39

「な…何だと?」隼人の言葉に兵士達は更に身構えた。 「まずは貴様らが何者かを名乗れ!徳川か石田のご使者か?」 「そんなところかな」 「言葉を濁すな!」 本当の使者であれば斬り捨てるのは無礼な行為にあたる。 しばらく口頭の言い争いが続いたので、陣…

タイムスリップ物語 38

「やっと来たか…」 三成は呟いた。すさまじい轟音は発したのは、三成が用意した大砲であった。 現在のような大量殺傷可能なものではないが、 大砲は敵兵の士気を大いに揺さぶる効果があった。 これにより石田隊は態勢を立て直し、東軍に突入するほどの攻撃ぶ…

タイムスリップ物語 37

関ヶ原における東西両軍の陣形は、西軍が圧倒的優位にあった。 後世、明治政府の軍事顧問として来日したドイツのクレメンス・メッケル少佐は、 関ヶ原の合戦布陣図を見て即座に西軍勝利を断言したという。西軍の布陣を、【鶴翼の陣】といった。 鶴が翼を広げ…