旅行

全然顔出せてませんね…昨日は呉に行ってきました。 特別企画展中の大和ミュージアムには軍艦の模型や 貴重な史料がたくさんあって非常に勉強になりました。 日曜に呉へ行けば自衛隊の艦艇に入ることもできるのでお得ですよ! ちなみに私が好きな軍艦は戦艦長…

タイムスリップ物語 53

如水は清正に尋ねた。 「主計殿は、関ヶ原の件しか聞き及んでおられぬかな」 「それは、どういう…」 「確かに関ヶ原では徳川方…味方が勝利した。じゃが、 実はまだ向こうでの戦は終わっておらぬのよ…」 「……」 「敗れた石田三成は大坂城に立て篭り、再度徳川…

タイムスリップ物語 52

全ての判断が家康に委ねられた。 家康は決して態度には出さないがたいそう悔しがった。 それでも、家康には長い見通しがあった。 「(この場が丸く収まっても、いずれまた諸将の間に亀裂が走るだろう…)」 その時まで生きられるかどうかが家康にとっての問題で…

タイムスリップ物語 51

10月7日、朝。大坂方は作戦に出た。 その作戦が如何様なものであったかはご想像に任せる。 戦上手の立花宗茂を先手とした大坂方の作戦は大成功に終わり、 遠方に布陣している徳川家康本陣と、数日前大坂に到着した 徳川秀忠の本隊を除くほぼ全ての東軍諸部隊…

タイムスリップ物語 50

同じく6日夜。一旦休戦に入った大坂方では活気が戻っていた。 福島・浅野という豊臣恩顧の、新たな兵力が加わったことが大きく 影響している。 西軍総大将の毛利輝元はこれに驚いていたが、 味方の大名が石田三成と立花宗茂くらいしかいなかったので 心強い…

落描き

秀家と秀秋

タイムスリップ物語 49

「今すぐ貴様を宇土城へ帰還させる」清正と行長は並んで隈本城内の廊下を歩いていた。 加藤家の家臣らはその姿を見るや、滑稽だなと小声で話していた。 行長が万が一の行動に出ないよう、家臣の一人が行長のすぐ後ろを ついてまわった。 それでも清正が自分…

関ヶ原2013

全員集合!!

タイムスリップ物語 48

10月6日、昼過ぎのことだった。 福島正則隊と、浅野幸長隊が、東軍を裏切った。 初め、この二部隊は敵方に向かって突撃したため、 黒田長政を除く部隊はてっきり攻撃をしかけにいったものだと 勘違いした。 どうにもそうでないらしいと思った時には遅かった…

タイムスリップ物語 47

10月4日、家康は東軍諸将に大坂城への進軍命令を下した。その報せを受けた三成の元に、新たな助っ人が馳せ参じた。 立花宗茂である。 立花宗茂は、石田方に属する九州の大名の一人だ。 彼は関ヶ原の戦いには参加しておらず、東軍の城・大津城を攻めていた。 …

タイムスリップ物語 46

時は遡って10月2日… 三成は家康と対談していた(前回の続き)「…で、石田殿の真意は?」 家康は、三成が大坂で再挙するつもりであったと確信している。 家康本心としても、三成をこのままにしておきたくはなかった。 三成は確かに、大坂で再挙するつもりでいた…

タイムスリップ物語 45

9月29日…ついに、徳川家康は動いた。 大津城を出て、大坂城へ向かうよう諸将に指示した。 これには福島正則らが苦い顔をした。 戦いたくなかった。一方、大坂城の石田三成も東軍の動きを知って 毛利輝元と共にどっしりと構えた。 輝元は、三成に問うた。 「…

タイムスリップ物語 44

「…で、お前さんの仮説による第三者ってのは?」 「あの女だ」 「あの女?」 高虎は聞き返した。 「誰のことだよ」 「まだ記憶に新しかろう…関ヶ原より前、江戸から清洲まで俺達と 同行した奇妙な女がいただろう」 「それって…あの…」 高虎が思い出しかけた…

タイムスリップ物語 43

9月20日、徳川家康が大津城に入ったとの報せが入った。 大津城城主は京極高次といってお市の次女・初の夫であった。 彼は元々は西軍であったが、 大谷吉継が美濃の方へ転進した際に突如東軍へ寝返り、 3000の兵を率いて大津城に籠城したのだ。 これに対し西…

タイムスリップ物語 42

夜が更けた… 朝日が洞窟に差し込む。 交代で見張りをしていた隼人と椿が皆を起こしにかかる。 結は目をこすってあくびをした。 どうやら、一晩の間、東軍の追っ手には遭遇しなかったらしい。 9月16日のことである。 三成は洞窟を出て辺りを見渡す。 「…誰も…

タイムスリップ物語 41

「あれは―――――!!」木陰から現れた人物も、こちらを見つけて驚いている。 「!」 「小西さん!?」 小西行長だった。腕と足を負傷している。従者は、いない。 結は駆け寄った。 「小西さん…大丈夫ですか…!」 「……っ」 行長は言葉一つ発しない。そして隼人…

タイムスリップ物語 40

「やはり…金吾は裏切ったか…」 小早川の裏切りを前もって予測していた大谷吉継は、冷静であった。 「兵力の差は歴然としている。だが、小早川の軍勢は足並みが 揃っていない。600の精鋭で十分時間稼ぎはできる。…迎撃せよ」 大谷隊は自軍の何倍もの兵力を有…

タイムスリップ物語 39

「な…何だと?」隼人の言葉に兵士達は更に身構えた。 「まずは貴様らが何者かを名乗れ!徳川か石田のご使者か?」 「そんなところかな」 「言葉を濁すな!」 本当の使者であれば斬り捨てるのは無礼な行為にあたる。 しばらく口頭の言い争いが続いたので、陣…

タイムスリップ物語 38

「やっと来たか…」 三成は呟いた。すさまじい轟音は発したのは、三成が用意した大砲であった。 現在のような大量殺傷可能なものではないが、 大砲は敵兵の士気を大いに揺さぶる効果があった。 これにより石田隊は態勢を立て直し、東軍に突入するほどの攻撃ぶ…

タイムスリップ物語 37

関ヶ原における東西両軍の陣形は、西軍が圧倒的優位にあった。 後世、明治政府の軍事顧問として来日したドイツのクレメンス・メッケル少佐は、 関ヶ原の合戦布陣図を見て即座に西軍勝利を断言したという。西軍の布陣を、【鶴翼の陣】といった。 鶴が翼を広げ…

タイムスリップ物語 余談3

キャラクター紹介その3とは言っても主な人物のみ。★小西行長…肥後南半分を領するキリシタン大名。 商人から大名へと出世し、朝鮮出兵などで活躍した。 飄々として、笑っていることが多いが、苦悩が絶えず いつも綱渡りの人生を送っている。清正とは宿敵。 …

タイムスリップ物語 36

14日…この日、東軍と西軍は大いに動いた。 まず、午後に西軍の吉川広家から発せられた密使が、赤坂の 黒田長政の陣所に入った。 これは“毛利一族の戦闘不参加を誓う”といった密書を携えたものだった。 吉川広家は既に東軍と内通しているのだ。 長政は、これ…

タイムスリップ物語 35

「…三成はん……これで、良かったんやろか」 「何を今更…俺達はもう引き返せないところまで来たんだ」 左近が結を連れていった間、三成と行長はこんな会話をしていた。 行長は、まだ結と話がしたかったようで、残念がっている。 「要は俺達が勝てば良いだけの…

タイムスリップ物語 34

「―――石田さんは、これで良かったと思っていますか?」 舞のこの一言により、三成の目つきが変わった。 次の言葉を待っている様子だ。舞は続ける。 「敵の…東軍の人達と石田さん達は、元々は… 同じ豊臣家の家臣だったんですよね?仲間だったんですね…?」 「…

タイムスリップ物語 33

月はかわって9月1日…ほんの数日前に小西隊は石田三成のいる大垣城へ入城した。 大垣城には既に島津隊が到着しており、小西行長が着くやいなや 三成が出迎えてくれた。 そこで舞も小西隊の中から初めて石田三成を遠目に見やる。 少し小柄で細身、つり目で狐色…

タイムスリップ物語 32

8月下旬… 伊勢に駐屯する小西隊のもとに他の西軍部隊がやってきた。 その者の到着を知るや、行長は出迎えに行った。 舞はしばらく小西隊の陣所内で待機していたが、 やがて、行長がその西軍の人物らしき者と共に戻って来た。 行長の隣に並んでいたその人物…

タイムスリップ物語 31

「―――明里ちゃん。それ、面白い?」 「うん。舞ちゃんも読む?」 「わ、私は遠慮しとくよ」 「そう?…これね、石田三成が主人公の小説なんだよ」 「石田三成って…関ヶ原の戦いで出てくる人だよね?」 「まぁ…教科書的にはそうかな。 豊臣家を守るために、自…

タイムスリップ物語 30

「舞…よせよ…何言ってんだよ」 「私、本気だよ」 「東軍や加藤殿が不利になるようなことを石田三成に教える気か?」 「そうじゃない。ただ、あの人達に伝えておきたいことや 聞いておきたいことがあるの」 「……っ」 隼人は声を押し殺すように尋ねた。 「命の…

タイムスリップ物語 29

「――――舞!?」隼人が戻って来た時、既に舞の姿はなかった。 「おばちゃん!ここに座ってた娘を知りませんか?」 隼人は茶屋のおばさんに尋ねる。 「そうだねぇ…ついさっき、数人の侍達に絡まれてたけど…」 「侍に?」 隼人の頭に不安がよぎる。 「どんな侍…

タイムスリップ物語 28

舞と隼人が出発した翌日の8月19日に、 ようやく家康からの使者が清洲城に到着し、口上を述べたという。 「諸将が未だに戦端を開かぬのは何故か。 各々方が敵に手出しして向背を明かせば内府殿も御出馬なさる」 つまり、家康は福島正則ら豊臣恩顧の諸将の忠誠…